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【レビュー】さんかく窓の外側は夜【BLコミック】【ネタバレあり】

どうもBL沼にハマっている30代主婦です。

今回はヤマシタトモコ先生の「さんかく窓の外側は夜」をレビューします。

攻めは暗い過去を持つ霊媒師×受けは霊が見える書店員です。

 

 

この作品はちょうど今年完結し、10巻で終わりです。がっつりしたBL描写はないのですが、いわゆる匂わせ系BLでヤマシタ先生もこの作品はBLだと公認しているのでBLに分類しました。また今年2月には実写映画化され、10月からアニメが放映されていますね。私はこの作品大好きで映画も見たし、アニメも視聴しています!ジャンルとしてはホラーBLでしょうか。ギョッとする場面もあるので、ホラーが苦手な人は苦手かもしれません。

 

霊媒師の冷川さんが浮世離れしてまして(読み進めるにつれて理由がわかります)、霊が見える三角(みかど)くんにいきなり「これは運命の出会いです」と宣言し、三角くんの体を使って除霊を始めるとこから始まります。面白いのが二人での除霊作業がとても気持ちいいということで、暗にアレを連想させます(笑)。そしてこのお話、BL要素以外でもとても奥が深く、何気ないセリフが沁みたりします。お話は一つ一つの除霊依頼を軸に進むのですが(ホラー好きには堪らないはず)、それらのケースを通して最終的に冷川さんの過去や大きな敵と対峙することになります。主人公二人以外には死人を使って呪い殺すことができる女子高生のえりかちゃん、占い師のけいたくん、刑事の半澤さん、謎の人物「先生」が出てきます。そして話の途中でバラバラ死体事件が出てくるのですが、ここからある宗教団体に結びつき、話が大きく展開します。

 

「信じるor信じない」はこのお話のテーマの一つになっています。これは非常に重要で呪いも信じる者には作用するし、信じないものには効きません。刑事の半澤さんはオカルト系はまったく信じないので、そっち側の代表としてストーリー全体を引き立てています。そして普通の人には見えないモノが見えてしまう人間(冷川・三角・えりか・けいた)にとって、人とは違うことにどうしても一線を感じてしまい、特に三角くんは同じ境遇を理解しあえる仲間に出会えてやっと自分を出せた感があり、なんだかんだ冷川さんと一緒にいるのが心地いいんだと思います。BL要素でいくと、冷川さんは結構無理やり三角くんの体に入ったり、他の霊能力者に触れさせないよう束縛するタイプなんですが、それでも冷川を救おうとする三角くんは尊いです。体の相性(除霊w)もいいし、本当にナイスコンビだと思います。

 

また5巻以降は大きく話が展開し、それぞれの救済の話になっていきます。これもこの作品の大きなテーマの一つだと思います。幼少期にえりかはその能力ゆえ父親に売られたも同然にある宗教施設で裏稼業を手伝わされたり、冷川さんもえりかと同じような境遇で、そこから逃げ出すために最悪の選択をしてしまった過去があります。三角くんは幼少期に本当は誰かに救って欲しかったからこそ、そんなえりかや冷川さんをほっておけないんですね。冷川さんが「運命」を探していたのも、自分を救ってくれる人が必ずいると信じていたからで、それが三角くんでした。壮大な愛のお話ですね。冷川さん、三角くんに出会えて良かったね…(泣)

 

長々と書いてしまいましたが、この作品大好きなので、気になる人は読んでみて損はないはずです。がっつりしたイチャラブが絶対な方は合わないかもしれませんが、それ抜きにしてもお話として十分面白いです。また12月頃に結末後が描かれた後日譚が単行本で発売されるようなので今から楽しみです。